【世界経済】なぜ日本円は安全資産?: 日本は対外純資産が世界一

対外純資産
対外資産と対外負債の差額

対外資産
我が国の居住者が非居住者に対して有する、金銭的価値で評価でき、金銭の支払により履行を請求し得る資産

対外負債
我が国の居住者が非居住者に対して有する、金銭的価値で評価でき、金銭の支払により履行し得る負債

(財務省サイトの記載より, 2022/05/08最終閲覧)

記事の目的

経済初心者の私が、留学を機に世界経済に関心を持ち、なんとなくまとめてみました。

今回は「なぜ日本円が安全資産とされてきたのか」という疑問から対外純資産というワードにフォーカスしていきます。

ウクライナの有事に円安となった現象を目の当たりにした今、このことについて改めて考えるのは重要だと断言したいです。

データは財務省が出しているものなど、信頼できるものを見ています。

なぜ日本円は安全資産?

資料: BUSINESS INSIDER, Jun. 22, 2020, 05:00 AM 「29年連続「世界最大の対外純資産国」は「失われた20年」の産物。高収益の投資先が国内にない日本の現実」, https://www.businessinsider.jp/post-215110, 唐鎌大輔 [みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト], 最終閲覧2022/05/08
出典: 財務省

さて、今回考えたのは、日本円がなぜ安全資産と言われてきたのかという疑問。

ちょっと調べたところ、「日本円が安全資産とされる理由は対外純資産が世界一だから」だそう。
(その他、デフレ通貨であること、低金利であることなどが語られていました。)

対外純資産が多いということは、いざとなれば使える外貨をたくさん持っているということになり、通貨価値が大暴落することは考えにくいということだそうです。

例えば、アジア通貨危機(1997年)では、ヘッジファンド等の機関投資家の空売りに引き起こされた対バーツ安に対し、タイの外貨準備のドルが枯渇したことでタイバーツ安に耐えられなかったよう。

対外純資産が多ければこういった金融取引の波にも対応できるので、これが安全通貨の根拠になるのですね。

財務省のデータより作成

出典: 統計表一覧(本邦対外資産負債残高)、財務省

変わりつつある対外純資産の構造

財務省のデータより作成

出典: 統計表一覧(本邦対外資産負債残高)、財務省

対外純資産の内訳としては直接投資と証券投資、外貨準備などがあります。そして近年は直接投資が増えているそう。

理由は直接投資の方が証券投資よりも儲かるから。

ここから先は憶測ですが、直接投資とは海外の企業買収などのことで、いざという時は円に戻されにくい資産、行ってみれば流動性の低い資産といえるかなと思います。

こうなると投資家が思うシナリオは

「対外純資産とはいえ、いざという時に実際円に戻される資産はその一部になるのではないか」

「有事の円買いをしても、あまり円高にならないのではないか」

「他の通貨で持った方が得じゃないか」

という見方になります。

結果として、「有事の円買い」の動きが阻害されるというシナリオです。

対外資産が多い=国内に儲かる投資先がない

そもそも対外資産が増えている原因は日本国内にいい投資先(儲かる投資先)がないからといえそう。

つまり対外資産が世界一であることは手放しには喜べないのです。言ってしまえば、「他国と比較してよりお金を儲けられるビジネスができていない」ということですものね。

そして日本は国外との比較では対外純資産は世界一多いですが、要はこれは国境線を越えるお金のみの数字。国内では国が大量に国債を発行しているのに、そのほとんどを日本人が買っているから対外純資産は数字として世界一になるといえるのかなと。

その底力はやはりすごいなと思うと共に、ここに数字のカラクリがあるような気もする。。

(そろそろ頭がこんがらがってきました笑)

ドイツの台頭

2016年にドイツが対外純資産額で中国を追い抜いて210兆円で日本に次ぐ第二位になりました。

10年ほど前までは2位の倍近い額で圧倒的に1位だった日本ですが、2022年では1位日本356兆円、2位ドイツ323兆円というところまで差が縮まっていきました。

今やドイツに追い抜れるのも時間の問題といわんばかりの勢い。

対外純資産で順位が入れ替わるようなことがあった場合、日本円はどうなっていくのか。安全資産としての地位を失ったら何が起こるのか

しっかりと考えてみたいですね。

余談ですがドイツが扱う通貨はユーロですので、周囲のEUの国々に経済的に影響を受けているのも事実です。もしドイツが今ユーロからドイツマルクを通貨とした場合、ドイツマルクは強い通貨になりそうです笑

では

「日本円が安全資産でなくなったらどうなるのか」

みなさんもぜひ考えてみてください。

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