記事の目的
私が学部の頃から現在のETHでも使っている「ポイントクラウドデータ」についてまとめました。
特に建築パースやアイソメなど作品のビジュアル化にポイントクラウドデータを利用したい人にはおすすめの記事です。レベルとしてはポイントクラウド初心者の建築・デザイン学生向けて、使い方の概要を載せます。
もしより具体的なワークフローが知りたい方は多ければ記事を作成したいと思います。その他アドバイス等含め、ぜひコメントをお願いします。
ポイントクラウドの強み
特に建築デザインではそこまで普及してないポイントクラウドですが、使うメリットはあります。
既存の敷地データを二次元の地図データから立ち上げる代わりに、3Dモデリングソフトに直接ポイントクラウドデータを読み込めばかなりの時短になります。しかもよりリアル。リアルすぎるのが嫌な場合はPhotoshopで加工すれば問題なし。
以下に私が思う「ポイントクラウドの強み」を挙げておきます。
特に2番目に挙げた「モデリング・レンダリングが必要ない」という点は建築学生としてはありがたいです。
データが比較的軽い
ポイントクラウドと、3Dモデル(plateauなど)を比較すると、断然ポイントクラウドの方が軽いです。
とはいえ、あくまで点なので、面が存在せず、奥が透けてしまうのが若干問題でしょうか。
モデリング・レンダリングが必要ない
前述しましたが、ポイントクラウドのデータさえ取ってきてしまえば、3Dモデルを立ち上げる必要はありません。
綺麗さでいくと、現状では3Dモデルにマテリアルを張ってレンダリングした方が綺麗に仕上がると思います。しかし、やはり設定に時間がかかります。ポイントクラウドを用いればフォトショのレタッチだけで一定レベルまで綺麗に仕上げることができます。
最近ではポイントクラウドデータをオープンデータとしてサイトにアップしている自治体などもあります。周辺を一々モデリングする代わりにこうしたデータを利用するのはありです。
図面表現にこだわりがあればレンダリングから行った方がいいと思いますが、エスキスや検討段階などで、サクッとビジュアル化したい時などはポイントクラウドは方法の一つとしてあるかなという感じです。
画角を変えられる
パースの出力にかかる作業コストが少ないということは、それだけ自由が利くといえます。特に画角の変更等は、一度レンダリングした後では難しいでしょう。
ポイントクラウドなら、すでにレンダリングされた3Dモデルのようなものなので、多少の画角変更に耐えることができます。
精度が高い
最新のポイントクラウドデータの精度は、各点の誤差が多くても数センチ以内というところでしょう。何千分の1のスケールの地図からモデルを立ち上げていた従来に比べれば、明らかに精度が高いといえます。
また、木の一本一本の位置・大きさ・形のデータまで得ることができるので、より精密なデザインをしたい場合はぜひポイントクラウドを使うことをおすすめします。
ポイントクラウドを用いて、今まで切り捨てられてしまっていた情報も踏まえて建築を設計すれば、今後新しいデザインにつなげることができると思います。
将来的に敷地と建築の関係を考える大きな手助けとなることは間違いないでしょう。
ポイントクラウドの弱み
一方で、ポイントクラウドを利用するときは以下の弱みを把握しておくことが大切です。
透ける
ポイントクラウドは点の集合により、面があるように見せているのですが、
視点からの距離が近いと見た目がスカスカになります。
その場合は点の表示サイズを変更することは可能ですが、
一部の点を選んで表示サイズを変更することが難しい点、サイズを大きくすれば見た目がモザイクのようになってしまうという点で調整するのは難しいといえます。
色がおかしい時がある
スキャンのタイミングで影だった部分はそのまま影としてポイントクラウドデータに残ってしまします。
つまり一部の点の実際よりは少し暗い色が保存されてしまいます。
もっといいやり方があるかもしれませんが、Photoshopのレタッチでなんとかするしかなさそう。
ポイントクラウドの基礎知識
以下に、ポイントクラウドを利用するにあたっての予備知識を記します。
データの構造
ポイントクラウドのデータは直交座標(x,y,z)で表されます。それに加えて、色のデータを含む場合は色の三元色(R,G,B)がその後に続きます。
つまり
座標データのみの場合
(x,y,z)
座標 + 色 データの場合
(x,y,z,r,g,b)
という具合です。
これは一つ一つの点のデータです。
これが大量に連なることで、点群データを形成します。
つまり、ポイントクラウドデータはこのような数字の羅列で成り立っています。
データ形式の種類
ポイントクラウドには実にたくさんのなタイプの種類のデータが存在します。
今回私が主に扱っていたのはE57という形式です。
これはGrasshopper(3DソフトRhino用プラグイン)を使ってRhinoモデル上に映し出すことができます。
詳細は後で説明しますが、Grasshopper用プラグインとしてVolboxというプラグインを使用します。
たくさんのデータ形式が存在するポイントクラウドデータを一括して編集できるソフトが「cloudcompare」というフリーソフトです。
ポイントクラウド>建築パースで使用したソフト
以下に私が実際にポイントクラウドを使って建築パースを作成した際に使用したソフトを載せておきます。
Cloudcompare: ポイントクラウドデータの編集
ポイントクラウドを編集(切り取り、点の数の調整等)、拡張子変換するためのソフト。
Rhinoceros: ポイントクラウドと3Dモデルの統合
3Dモデリングソフト。ポイントクラウドデータを読み込んで、自分がデザインした3Dモデルと組み合わせることでパースを出力することができる。Photoshopと組み合わせて使います。
ポイントクラウドの読み込みにはGrasshopperを用います。Grasshopperには、「Volbox」というプラグインをインストールしている必要があります。
Unity: ポイントクラウドと3Dモデルの統合 その2
3Dモデリング・ゲーミングソフト。こちらもポイントクラウドを読み込み可能。即座にサーフェスのテクスチャーが変更することができるので、とても使いやすいです。即座にレンダリングされますが、ダウンロードして使用するには100GBほど空きがあった方がベター。初めて使う方は時間にゆとりがある時に試してください笑
最後に
仕上がった画像をこのサイトに載せたいところですが、ETHが持っているデータで一部公開できないものが含まれているので、現状見送っております。学期の最初に機密情報の誓約書にサインする必要がありました。それくらい、ポイントクラウドはデータの精度が高いということですかね笑
冒頭にも書きましたが、ポイントクラウドを利用した建築パースについて、具体的なワークフローを知りたい方が多ければ今後記事を作成しますので、コメントをいただければと思います。
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